スティーヴン・キング

作品名から詳細を表示
作品名出版社
ブラック・ハウス 上・下新潮文庫
骨の袋 上・下新潮文庫
ドリームキャッチャー(1)〜(4)新潮文庫
トム・ゴードンに恋した少女新潮社
IT4巻文春文庫
アトランティスのこころ上・下新潮文庫
ファイアスターター上・下新潮文庫
ペット・セマタリー上・下新潮文庫
暗黒の塔1ガンスリンガー角川文庫
暗黒の塔IIザ・スリー角川文庫
小説作法アーティストハウス
図書館警察/サン・ドッグ文春文庫
キャリー新潮文庫
刑務所のリタヘイワーズ--春は希望の泉
 ゴールデンボーイ--転落の夏(上記に含む)
新潮文庫
神々のワード・プロセッサ扶桑社文庫
スタンド・バイ・ミー新潮文庫
クージョ新潮文庫
死のロングウォーク扶桑社ミステリー
クリスティーン上・下新潮文庫
痩せゆく男文春文庫
グリーン・マイル1〜6巻新潮文庫
ダーク・ハーフ文春文庫
バトルランナー扶桑社ミステリー
ランゴリアーズ文春文庫
レギュレイターズ上・下新潮文庫
デスペレーション上・下新潮文庫
デッド・ゾーン上・下新潮文庫

【ブラック・ハウス 上・下】

食人鬼"フィッシャーマン"による、幼い子の連続殺人が起こっていた。タイラーが 行方不明になったと連絡が入る前から、母ジュディは正気を失っていた。遅れて、 警察からタイラーの自転車とスニーカーの片方が見つかったと、知らせが入った。 父フレッドは、警察だけではなく、退職していたが有能なジャックも捜査に加わって ほしいと言った。 ジャックは、すでにフィッシャーマンから、いくつものメッセージを受け取っていた。

ジャックは、否応なく異世界へ引き込まれていく。森の奥深くにある「ブラック・ハ ウス」に、連れ去られた子どもたちがいると確信し、警察も動き出す。ハーレーにまた がるビーザー率いるサンダー・ファイブのグループも、向かうが、入り口で手ひどい拒 絶に遭う。

暗黒の世界に棲息する「悪」と、子どもたち、かつて子どもだったジャックたち大人の 世界が、うまく描かれ展開していきます。「IT」に匹敵するおもしろさは、さすがです。 少年たちのこころの動きが、ほんとうにうまく描かれています。そして、大人の男も。 う〜ん。これだから、キングからは目を離せないのです。


【骨の袋 上・下】

妻のジョーが突然の病死をして以来、作家のヌーナンは悪夢に悩まされていた。 恐怖に捕われ、次第に夢と現実が交差していった。新作を書くこともできない。 やむなく、繰り返し夢に出てくる、思い出の別荘地に向かうことにする

だが別荘に着くと一層悪夢がひどくなった。冷蔵庫の扉に霊からのメッセージが 残され、ジョーの気配がした。暖炉の上の鹿の頭につけた鈴が、ちりりと鳴った。 そしてジョー以外のいくつもの霊がヌーナンを苦しめる。

ヌーナンはカフェに行く途中、水着姿の3歳の少女カイアをあやうく轢きそうに なる。血相を変えてカイアを探していた母親のマッティーは、泣きながら娘と抱き 合った。
彼女は、狭い別荘地で必死に娘を守って生きていたのだ。亡くなった夫の父マックス・デウ゛ォアが、あらゆる手段で執念深くカイアを狙っているという。

ヌーナンは、弁護士をつける提案をし、二人を守るために悪夢とも戦うことを決心 する。襲いかかる恐怖心を跳ねのけて。

ヌーナンのこころの中を描き出し、ジョーの行動を推理し、霊の世界を引きずり込 んでの大作です。読むのに一週間もかかりました。映画にしたら、CG をふんだんに 取り入れたおもしろいものになるでしょう。さすがは、キング。


【ドリームキャッチャー(1)〜(4)】

ひさびさの、キングのホラー系です。「暗黒シリーズ」も完成して いないのに・・・と、思いながらまたまた読んでしまいました。

少年時代の共通の体験を持つ、ジョーンジー、ヘンリー、ビーヴァー、 ピートの4人は、毎年冬山で鹿の狩猟キャンプを楽しんでいた。
そんな中、ジョーンジーは奇妙な遭難者を助ける。顔に小さな斑点を 持ち、歯が抜け、とんでもない放屁をするのだ。その臭さは、とんで もないしろものだった・・・。

冬山でジョーンジーとビーヴァーが助けた、奇妙な遭難した男は 尻を抑えトイレに立てこもった。水音だけが聞こえる不気味さに、 とうとう二人はドアを壊して入り、惨状を目にする。

男はバスタブに落ちて死んでいた。便器の中は血にまみれていた。 ふたを押し上げようとするものを閉じこめようと、ビーヴァーは その上に座り、ジョーンジーは絶縁テープを探しに行く。だが、 ほんの少しの油断から...。

膝を痛めたピートの救助を求めるためヘンリーは、山小屋に向かっ た。ピートは離れた場所に置いてある車から、ビールを持ってこよ うと動き出す。

行方不明の4人のハンターを探すヘリが、森林の上空を飛んでいた。 だがそれは、救助のためではなかった...。

宇宙からきた生物『バイラス』は、ますます勢力を広げていく。司令 官カーツは、殲滅(せんめつ)作戦を進める。『グレイマン』は、ジョー ンジーの体を乗っ取り、自ら生き残るための計画を実行しようとする。
ジョーンジーは『部屋』に立てこもり、『グレイマン』をなんとかし なければと思っていた。

少年のころの友人ダディッツの力を借りようと、ビーヴァーとピート は、ある方法で彼を迎えに行く...。

一人一人の暮らしや、少年時代の記憶への追憶が、たくみに折り込ま れて、ストーリーが展開していきます。サイコは苦手なのですが、キ ングのホラーは読めるのです。たぶん、たんなる脅かしではない手ご たえがあるからでしょう。

全体の半分でここまで楽しませてくれるキングは、やっぱりすごい です。少年時代の感傷とともに、壮年の男たちのこころを描く筆致は さすが。

後半から、急展開でおもしろおくなりました。代表作「IT(イット)」 の少年時代の、給水塔につながっていく設定がすごいです。

結束していた少年時代と交錯する現在、思考が交錯する展開が最終章 へと収斂(しゅうれん)していきます。人間の持つ力への信頼。信じ るこころ。生きていくすばらしさ。最後までドキドキさせてくれます。
さすがは、キング。まだの読者は、「IT(イット)」を読んでみたい と思うのではないでしょうか。


【トム・ゴードンに恋した少女】

小旅行の途中、アパラシア遊歩道をママと兄のピートは、口げん かをしながら歩いていた。
離婚したパパの悪口にあきあきしていた9歳の少女トリシアは、 二人に声をかけずにおしっこをするため、ちょっとわき道に入っ た。
レッドソックスのトム・ゴードンのサイン入りの野球帽をかぶり、 軽食と雨具の入ったリュックだけを背負った都会っ子のトリシアの、 長くさ迷うことになる第一歩だった...。

広大な原野を抜けようとする彼女を襲うヤブカの大群、乏しい食 料、夜の恐怖、下痢、発熱など。憧れのトム・ゴードンとの空想 の会話をこころの支えに、知恵と気力を振りしぼっていく...。

キングの作品は、少年少女のこころを書かせたらほんとうにすご いと思います。サバイバル物とわかっていながら、引きつけられ 最後まで一気に読み終えてしまいました。
トム・ゴードンとの会話もリアリティがあります。最後の最後ま ではらはらさせてくれます。

ホラーだと思い、まだキングを読まれていない方への、お勧めの 作品です。


【ファイアスターター上・下】

アンディと幼い娘チャーリーは、CIAの下部組織《ザ・ショップ》 から逃げ回っていた。アンディは相手の意識を『押す』力と、チャー リーは『念力放火』の力を持ってしまったために。

それはアンディが学生の頃小遣い稼ぎに受けた、薬物投与実験によっ て作られたものだった。しかし、絶対に秘密にしようとする組織に、 二人は捕まってしまう。

チャーリーは自分が引き起こした惨事を悔い、二度と力を使わない ことにしていた。だが卑劣な手段で組織は、実験に協力させようと する。

父娘のこころの葛藤や、否応なく巻き込まれていく周囲の人々が、 見事に描かれています。そしてクライマックスまでの、盛り上げ方 は、感動的です。これはおもしろいです。


【アトランティスのこころ上・下】

母リズの働きでボビーたち親子は暮らしていた。3階に間借人が きた。白髪の老人テッドをリズは嫌い、けっして信用しなかった。

ボビーは誕生日に、ガールフレンドのキャロルからキスのプレゼ ントをもらい、テッドからはいままで読んだことのない本を贈ら れる。テッドと本の話をし、体に触れられた時不思議な感覚がし た。そのころ、街に出没する怪しい男たちの陰があった...。

ピート・ライリーは大学生活を謳歌していた。寮ではカード遊び 「ハーツ」が、熱病のようにまん延していた。スキップをはじめ ほぼ全員が!歯科医師を目指すネイトと、足の悪いストークだけ は、決して加わらなかった。そして、キャロルとの恋にこころを 奪われ、ハーツをやめなければと思いながら、ドラッグに似てい る魔力に取り付かれていた。 ある雪の夜、ぬかるみで転倒したストークをめぐり、ライリーた ちは...。

友情、恋、勉強のこと、60年代の社会・ベトナム戦争のこと、 あらゆる要素を取り入れた壮大なドラマが繰り広げられます。青 年から大人への転換の時期のこころの動きが、みごとに描かれて いて、その特有の熱い空気まで感じさせてくれます。一緒に、そ の熱に巻き込まれているようです。

いつもながらの人物像の描写がいいですね。見逃してしまう癖ま でも、見えてくるようです。そして、少年からは感じにくい『嫌 』なアイツたちの空気が、リアルに視覚的に立ち上がってきます。 おもしろいです。映画とセットなんて、すごいです。 これは、映画も見たくなります。想像をいい意味で裏切ってくれ る映像を期待したいです。


【小説作法】

わたしの中では珍しいノンフィクションで、小説の「作法」などと いうタイトルは数少ないのです。表紙のキングのすてきな写真に惹 かれたと言ったら、ミーハー過ぎるでしょうか。 とにかくわかりやすい文章で、どうやって小説を書くのかを、飽き させずに読ませ、キングの魅力の秘密を覗いた気分にさせてくれま す。納得してしまうのですが、だからといってこの本を読んだ人が ベストセラー作家になれるはずはありません。でも、おもしろい! キングの交通事故で一命を取りとめた話は、印象的です。

ページの上へ

【図書館警察/サン・ドッグ】

「図書館警察の厄介になるべからず! よい子は本の返却日を必ず守りましょう!」 図書館の壁に張り付けられたポスターが、サムを恐怖の世界に引き ずりこんだ。

代理で急きょつとめた講演は、借り出した本のおかげで、大盛況だっ た。返却期間をすっかり忘れていたサムの留守電に司書のアーデリ ア・ローツからの警告メッセージが入っていた。

図書館の、不思議にしんとした空間に感じていた、かすかな恐怖を みごとに引き出し、展開してみせてくれる。キング・ワールドだ。

「サン・ドッグ」は、ポラロイドカメラに映る映像が、ケヴィンに 何かを思い出させる。ストロボがたかれるたびに<それ>は近づい てくる...。

「クージョ」をだぶらせて読めます。ケヴィン少年と父との交流も うらやましいです。分厚い本なので、読みごたえがあります。飽き させないのは、さすがです。


【暗黒の塔IIザ・スリー】

シリーズ2作目です。 前作に続き、ガンスリンガーのローランドが暗黒の塔を求めて、壮 絶な旅を続ける。彼の目の前に現れた扉のむこうには、未来ともい うべきニューヨークが開けていた。 麻薬の運び人エディの体に入ったローランドが見たものは...。

そして、両足を事故でなくした二重人格者の黒人女性オデッタ。無 差別殺人鬼モート。3人とのかかわりが、とにかくおもしろい。

お勧めのキング・ワールドです。


【暗黒の塔1ガンスリンガー】

「ダーク・タワー」シリーズです。全7巻の予定で、構想からのペー スでいくと300年かかる?予定で刊行されたものだそうです。す さまじい執念というか、作家としての力量のすごさを物語る作品で す。これが本当のライフワークですね。

黒衣の男を追って、ガンスリンガーの旅は始まった。延々と続く砂 漠を、乾きと幻影に惑わされながら何かに突き動かされるように、 歩き続ける。途中で知り合う不思議な少年ジェイク。いつしか愛情 とも思える感情が芽生えるが、黒衣の男を追い詰めた時...。


【ペット・セマタリー上・下】

人間、あるいはペットにとって、「死」とは何か、家族とは何か。 愛するものを失うことのつらさ。胸を打つ作品でした。映画だとち ょっときついホラーになりそうだが、小説は感動的です。

メイン州の小さな街へ引っ越してきた医師のルイスと妻のレーチェ ル。娘のエリーと幼い息子のゲージ、そして猫のチャーチの新しい 暮らしが始まった。隣家のジャドとノーマ夫妻とのこころの安らぐ 交流。

気がかりは道路を走る大形トラックと、ペットの共同墓地。 そしてチャーチが車に引かれて死んだ。愛していたエリーは、受け 入れられるだろうか。ルイスとジャドは、秘密の行動を取る...。

ページの上へ

【神々のワード・プロセッサ】

短編集です。キングの魅力は長篇にあると思っていたので、短編は あまり読んでいませんでした。不思議な力を持ったワープロの話。 テレポートされる少年の話。など。一番おもしろかったのは、シン バルを叩くおもちゃの猿の話。

猿がシンバルを叩くと、誰かが死ぬ。確かに古井戸に捨てたはずの 猿が戻ってきた。そして恐怖に怯えるハルの息子が、今度は猿のネ ジを巻こうとする。絶対に戻ってこないところへ、捨ててやる。サ ンは心を決める...。


【スタンド・バイ・ミー】

少年たちの冒険。今回は、行方不明になり列車に引かれて死んだ少 年の死体を見に行くこと。(なんという!)テディ、クリス、バー ン、そしてわたしたちは、線路伝いに現場を目指す。

コイン投げで4枚全部が裏が出た。不吉な占いの結果を振払い、歩 き続ける。食料を調達し、列車に引かれそうになりながら、少年た ちは友情を深めていく。

生きているってすばらしい。そう感じられるキングの作品を、いま の、若い世代にも是非、読んでほしいと思う。


【クリスティーン上・下】

デニスの気の弱い友人アーニーが、ボロ車にほれこみ手に入れる。 赤と白のツートンカラーのプリマス。名はクリスティーン。車のこ とを、なぜか「彼女」とみんなが呼ぶ。整備に夢中になるアーニー の周辺で事件が多発する。

少年たちの世界の、なんてやさしく傷付きやすく、しかし正義に立 ち向かう敢然とした行動力。恐怖を乗り越えていく過程の描き方が いつも、キングはすごいと思わせてくれる。ストーリーだけでなく 人物がじつに魅力的なのだ。


【死のロングウォーク】

選ばれた少年100人が競技「ロングウォーク」に参加する。ひた すらコースを歩き、速度が落ちると射殺される。最後の一人になる まで続くという過酷な競技。コースが街を通るとギャラリーが見つ めるなか、昼も夜もなく眠ることもできない。

賞金のためという「バトルランナー」に似ているが、少年たちは目 的さえはっきりとしていない。互いに関わりながら歩き続ける少年 たちの極限を描いた作品。 キングはこれを、学生時代に書いたという。すごい作家ですね。


【クージョ】

子どもが大好きな犬のクージョ。コウモリにうつされた狂犬病が、 彼を狂わせてしまう。体重200ポンドのセントバーナードだから 大変なことに...。

飼い主や友人、子どもたちのいろんな偶然が、「あの時クージョを 救っていたら」という点にかかっていく。『お化け』が出てこない 正面からの作品です。 追い詰められた母親の、息子を思っての行動が、いっきに結末へと 向かわせる。登場人物たちの描き方が、キングらしくていいです。


【痩せゆく男】

痩せてゆく。弁護士ハリックが交通事故でジプシーの娘をはねてし まった。裁判の担当判事はワニのような皮膚に、警察署長は吹き出 物が、そして体重115キロのハリックは、痩せてゆく。食べても 食べても。これはジプシーの呪か?ついに半分の体重まで...。

妻や娘、友人を巻き込みながら、ハリックは立ち向かう。ダイエッ トが拒食症になるのとは違う、別な恐怖がある。 しかし、キングの作品に大切な友人が自分のために死ぬという、パ ターンが必ず出てくる。人生は「ツーペイ」しない、と言っている ようです。

ページの上へ

【バトルランナー】

失業者があふれる都市で、娘の治療費のためにテレビのゲーム番組 「ラニングマン」に出演するリチャード。それは直接のハンターだ けでなく、すべての視聴者からも追いかけられ、逃げとおすなら莫 大な賞金を受け取れる。捕まったらカメラの前で殺されるという、 非情なデスレースだった。

思い付く限りの手段で逃げるリチャードに、「もうやめて」と言い たくなるほど。それにしても、キングは読ませてくれますね。


【刑務所のリタヘイワーズ--春は希望の泉】

40年近くも刑務所の中でよろず調達屋をしている俺に、妻とその 愛人を射殺した罪で入所したアンディという有能なビジネスマンが 近付いてくる。石英で小さな石像を作る道具と、慰めになる『リタ ヘイワーズ』のポスターがほしい、と。

すべてがそこからスタートする。そして二人の行き着く先は?最後 に明かされる「実は...」そうか。という結末。 キングの独特の、緊張感あふれる刑務所の中の人間描写が楽しめる。

【ゴールデンボーイ--転落の夏】
同じ文庫の中に入っているもうひとつの作品。オール・アメリカン・ ボーイのトッドは13歳。古い記事で見つけたナチ戦犯の顔を、街 で見つけた。ドゥサンダーを脅かして、かつてパティンでしたこと を聞き出していく。不思議な悪夢の蜜月が過ぎていく。 痩せて学校の成績が下がるトッドは、窮地に追い込まれ.....。

うーん。そこまで書くの?というくらい徹底して心の中の悪が描か れていく。


【ランゴリアーズ】

真夜中、ジャンボ機の中で目覚めた11人のほかは、すべて消えて いた。パイロットさえも。空の席には、時計や指輪、ペースメーカ ーまで残されていた。何が起きたのか。燃料を補給するために着陸 した空港は、どこか、変。そこで目にしたものは?

完璧な暗黒と虚無の形...。恐怖のあとの、未来という存在が、だか らこそ美しい。きらめく未来への希望を感じさせてくれる。


【レギュレイターズ」上・下】

かの有名なスティーヴン・キングの偽名(?)の作品です。「デス ペレーション」と対のものになっています。

閑静な住宅街に起きた発砲事件。sfアニメや西部劇の登場人物た ちが、住民たちを襲う。 自閉症の男の子セスの中に寄生するものとは?セスの心の中に深く 侵入し描いてみせるあたりは、さすが。 もうそろそろ別な作家と出会いたいのに、キングはまだ、離れてく れません。もうしばらく皆さんもおつき合い下さい。


【グリーン・マイル1〜6巻】

完璧にキングにはまっていますね〜。去年映画化されたものです。

アメリカ南部の刑務所の死刑囚舎。看守主任だったポールの回想記 録の物語が始まる。電気イスに続く通路は、床の色が緑だったこと から、”グリーン・マイル”と呼ばれる。おとなしい死刑囚の大男 コーフイ。彼は双児の少女を殺した恐ろしい殺人者だが...。 知性的なネズミの出現や、数人の看守や囚人たちの心理と行動が、 描かれていくにつれ、新しい展開を見せる。そして驚くべき結末が 用意されていた。

ページの上へ

【デスペレーション上・下】

ネヴァダ州の砂漠を走るハイウェイで、通りかかる人々が次々に『警 官』に拉致される。寂れた鉱山の町デスペレーションに連行され、そ こで見たものは...。ジェノサイド!妹、母、そして父も殺された少年 デヴィッドは、神の力を得ながら戦って行く。「神は残酷だ」

「it」に通じる作品。少年たちの力をキングは絶対的に信じている。 そこがホラーだけに終わらず、希望や愛や神、生きて行く力を感じさ せてくれ、読後の清涼感を残してくれるのだろう。 これもお勧めです。


【デッド・ゾーン上・下】

2001年初のキングは、わたしの好きな分野のものです。

高校教師のジョンは、恋人を送り届けた帰りのタクシーで、交通事故に 遭う。4年半の植物人間状態が続く。回復を信じる母親は、狂信的にな る。恋人のセーラは、苦しみながら、でも別な男生と結婚してしまう。 父親はそんな状態の中、冷静な態度を崩すまいとする。 そして奇跡の生還。ジョンは不思議な予知能力を持ってしまう。その力 が引き起こす事件が周囲の人間を巻き込んでいく。

人間の存在とは何かと、読者に問いかけてくる。


【IT4巻】

27年前、デリーで起きたある事件。関わった少年と少女は、記憶の奥底 に閉じ込めた。 そして27年後、1本の電話が6人をデリーに呼び戻す。どうしても帰ら なくてはならない。仕事で社会的な地位にいる彼等が全てを放り出して、 故郷に戻っていく。

スリリング。一人一人の心の変化が丁寧に、スピード感をもって描かれる。 記憶がよみがえる彼らは、もう子どもではない。それでも力があふれてく る。「ビー、ビー、リッチ」ベンは叫ぶ。もう一度、it(あいつ)と戦 うんだ。「環」を結びなおして。 「ハイヨー、シルヴァー、それいけえええええ!」ビルは走る。 人間の心の中にある恐怖を映し出すitとの壮絶な戦い。自分を信じて。 そして終焉。 急速に、恐ろしい夢の記憶が遠くなって行く。メモも薄れて行く。......

どんな時にでも笑いがあり、ユーモアがあり、希望がある。キングの傑作 と評される作品。圧倒される物語の進行。ホラーは嫌いなわたしが、すっ かりファンになってしまった。


【ダーク・ハーフ】

ベストセラー作家ジョージ・スタークは実はペンネームだった。サド・ボ ーモントは、本来の純文学作家としての仕事に専念するため、そのことを 公表しペンネームを葬ることにした。 殺人事権が発生し、容疑がかけられる。現場に残された自分の指紋と血で 書かれたメッセージ。”ダーク・ハーフ(影の半身)”の復讐の手が伸び てくる....。

これも10数年前の作品だが、なかなかおもしろい。原稿を書き出す苦し い第一歩の描写など、身に積まされる部分もある。スズメの使い方も上手 いなと思う。


【キャリー】

昭和60年発行とある。実に古い作品。海外ものをあまり読まずにきたため この人との出会いは初めて。「古ッ」と、バカにされたけど、映画の古典を見 たような印象がある。作りがしっかりしている。実にリアルに想像して読む ことができた。

狂信的な言動の母に育てられた少女が、クラスメートたちのいじめや、女の 身体への変化も影響し、次第に念動能力を表わしていく。 悪意に追い詰められたキャリーは...。

心理も心情も変化をきっちりと描いている。最近の作品も読んでみたいと思 った。

ページの上へ

yui-booklet を再表示

inserted by FC2 system