ジャネット・イヴァノヴィッチ

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作品名
私が愛したリボルバー
あたしにしかできない職業
モーおじさんの失踪
サリーは謎解き名人
けちんぼフレッドを探せ!
わしの息子はろくでなし
怪傑ムーンはご機嫌ななめ
やっつけ仕事で八方ふさがり
九死に一生ハンター稼業

【私が愛したリボルバー】

ステファニー・プラムは失業して、どうしてもお金が必要だった。保釈中で失踪した 逃亡者を警察に引き渡す、バウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)になった。生まれて初めて 手にした拳銃を携え、元警察官で殺人者のモレリを追っていく。一途なプラムと、家族の 落ち着いた愛情と、強烈な個性の殺人者モレリ。下町的な街で、プラムは次第に力を 伸ばしていく。

食べるものに事欠く暮らしから、這い上がろうと必死のプラムが、どこかユーモラスで ドロドロせず、それでいて、しっかり事件のポイントに入っていくのがいい設定です。 モレリの存在感もあります。メイザおばあちゃんのキャラもいいですね。いいシリーズだと 思います。


【あたしにしかできない職業】

ステファニー・プラムは、バウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)の仕事を続けることになった。 警官モレリと絶妙なコンビを組んで、頭の狂った逃亡犯ケニーを追うことになる。一方、葬儀社の スパイロから、棺桶を探してほしいと奇妙な依頼が入る。ステファニーは、夕食は家族との食事 にも加わるが、話を聞き目を輝かせたメイザおばあちゃんが、事件に首を突っ込んでくる。

イヴァノヴィッチのシリーズ2作目です。バウンティ・ハンターをいよいよ本業にしていく ステファニーも、作品の文章も、じつに小気味のいい台詞を言ってくれます。テンポも、 ユーモアの切れのよさも、いいですね。すべらずに書き切るのは、なかなかの作家だと思います。


【モーおじさんの失踪】

住民の誰もが言ういい人「キャンディ・ショップのモーおじさん」が、拳銃所持の微罪裁判に 出頭しなかったため、ステファニー・プラムが探すことになった。だが行く先々で、 死体に遭遇するのだった。しかも、麻薬密売人と思われる男たちだ。相棒のルーラと、助っ人の レンジャーの力を借りて捜査を進める。刑事のモレリが情報を隠して、プラムに接近してくる。

バウンティ・ハンターのシリーズ3作目です。パワーアップしたプラムが、過激な殺人事件に 深入りしていきます。ますます磨きのかかった言いたい放題のユーモア感覚が、楽しめます。 モレリときわどく接近しながら、間一髪で邪魔が入ったり、ペットのハムスターまで活躍 させたりと、読者サービスも忘れません。
ファーストフード漬けのプラムに、しっかりした食事を取らせようとする、母親やおあばあ ちゃんの存在が、うらやましい感じがします。


【サリーは謎解き名人】

元彼の車を盗んだ女マクシーンを捜すのが、ステファニー・プラムの今回の仕事だった。軽い 痴話げんか程度の事件で、すぐ片がつくと思われた。だが、パズルマニアのサリーの協力が あるのに進展しない。マクシーンは行方不明、彼女の母親は頭の皮を剥がれ負傷、彼女の同僚は 指を切断する負傷。ステファニーの車にガソリンがまかれ炎上する。アパートの寝室も火炎瓶を 投げ込まれ、炎上した。かろうじて隣人のおかげで、ペットは救われていた。ステファニーは、 敵対関係のモレリの部屋に滞在することにした。

啖呵の切れ味が、とにかく楽しめます。状況が最悪になると、パワーを発揮するステファニーが 魅力的です。今回はモレリとの熱い関係に思わず、苦笑してしまいますが。プロらしくならずに、 必死に仕事をやろうとするところが、共感を呼ぶのでしょう。いいシリーズです。


【けちんぼフレッドを探せ!】

バウンティ・ハンターのステファニーは、メイザおばあちゃんから、親戚のフレッドおじさんが 行方不明になったので探してくれと頼まれる。ゴミ収集会社とトラブルがあり、その会社に行く 途中で消息を絶ったという。70歳を遥かに超えた年齢も心配だったし、 部屋から見つかった、ゴミ袋に入っている死体を撮った写真が気がかりだった。 一方、ちょっと危険な匂いに満ちているレンジャーから「改装の仕事」を誘われる。現場は アパートに居座っている住人を、強硬手段で立ち退かせるものだった。刑事のモレリは、 即刻その仕事から手を切れと、忠告する。だがステファニーは爆弾男に関わり、車の爆発に 巻き込まれていく。

シリーズ物の楽しさを、充分満足して味わっている、数少ない作品です。少しづつ関係が微妙に 変化していく、モレリ、レンジャーたち男の描写もうまいです。恐怖や疲労の極限に達すると、 コンビニで買ったチョコバー、キットカット、スニッカーズを食べ、ペットのハムスターと 眠り込むステファニーが、かわいくさえあるのです。服装や体重にも気をつけ、それでいて 火中の栗をつかむように、事件の核心に突っ込んでいくけなげさも魅力です。


【わしの息子はろくでなし】

凄腕のバウンティ・ハンターのレンジャーが、法廷出頭をすっぽかした。軽微の銃の所持で。 ステファニーはルーラと一緒に探すことになった。だが二人組の男たちに脅迫され、つけ回され、レンジャーの罪には殺人罪も加わった。深夜、警報装置を解除してレンジャーは、スタファニーの部屋に押し入る。殺人のぬれぎぬを晴らすために、捕まるわけにはいかないと言う。 隣の部屋には、夫婦喧嘩をしてメイザおばあちゃんが引っ越してきていた。刑事モレリとの 仲は、どうなるのか。

ますます磨きがかかっていく、ステファニーの威勢の良さと弱気のバランスが、微笑ましいです。 服に火をつけられたり、危ういところを脱出するハラハラも、楽しめます。ここまで飽きさせないのも、不思議ですね。ぽんぽん飛び出す啖呵も、魅力のひとつです。危険度が高いのに普通 (?)の家族もいる、ある意味ではおかしな繋がりもあるかも知れません。


【怪傑ムーンはご機嫌ななめ】

密輸タバコ移送中にくすねて逮捕され、法廷出頭日をすっぽかしたデクーチを 引き出そうと、バウンティ・ハンターのステファニーは相棒のルーラと訪問した。 着替えをすると言って部屋に入ったデクーチは、そのまま逃走し、納屋には撃たれた女の 死体が残されていた。いつもの家族との食事は、恋人の刑事モレリと、結婚を巡って 紛糾した。メイザおばあちゃんや凄腕のレンジャーからの情報で、その後も何度も デクーチに振り回されるステファニー。

シリーズ7作目です。食欲とカッコ良さと男。欲望に素直に反応するステファニーが、 あいかわらず楽しませてくれます。それにしても行く先々で、死体と対面し、車を潰され、 銃で撃たれては、「普通」の母親も父親もまともではいられません。そのあたりが、微妙に おかしいのです。


【やっつけ仕事で八方ふさがり】

バウンティ・ハンターのステファニーは両親の家で食事をしていた。隣家のメイベルから、 孫娘イーヴリンが離婚の際、アニーの児童監護保証金を請求されたという。行方不明の イーヴリンとアニーを探さないと、家を取り上げると裁判官に言われたらしい。メイザ おばあちゃんや相棒のルーラを巻き込んで、やっかいな事件を追い始めた。凄腕のバウンティ ・ハンターのレンジャーが、手助けをする代わりにステファニーに「報酬」を求めた。 恋人の刑事モレリとうまくいかず、揺れる心を見透かされてもいる。

レンジャーとの危ういセクシーなやりとりが、思わずにやりとしてしまう描き方です。 打たれても這い上がるステファニーの啖呵にも、元気づけられます。このシリーズは、 最後まで読むしかないかも知れません。


【九死に一生ハンター稼業】

バウンティハンター・ステファニーは、あと1週間でビザが切れるシンハをレンジャーと ともに、探すことになった。スロットマシンの部品を作っていたシンハのオフィスと 自宅に、レンジャーと向かう。ノートパソコンが消えていた。ステファニーの留守電の 無言電話、部屋には赤い薔薇と白いカーネーションと銃殺死体の写真とメッセージがあった。 恐怖を押し殺し、捜査は刑事のモレリに依頼し、ダイエット中の相棒のルーラと一緒に、 行動をする。

降りかかる火の粉を払いながら、火中に飛び込むようなステファニーの無鉄砲ぶりには、 相変わらずハラハラさせられます。そしてモレリとレンジャーというタイプの違う二人に、 惹かれてしまう女心の揺れも楽しめます。一見普通の家族に見える、家族の微妙な壊れ具合も おもしろいですね。気持ちが屈折している時の、活力剤になりつつあるシリーズです。

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